1.自己実現論とはなにか?
ドラッカーの自己実現論は、どうすれば仕事が成功するのかというビジネスマンなら誰もが考える難問の解答です。
以下に自己実現論のエッセンスをおおざっぱにまとめてみます。
A.自分の強みを把握します
B. 仕事や将来像について明確な目標を持ちます
C. 時間の使い方を分析し、適切なスケジュールを組みます
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以上を踏まえて、自分の強みを活かした、目標実現の方法を考え、適切なスケジュールを組むことで仕事が成功します
では、強みと目標と時間についてもう少し詳しくみてみましょう。
A:強み
自分の「強み」とは、たとえばこのジャンルについては人よりも深い知識を持っているとか、何時間やっても飽きない仕事があるなどです。
しかし、人間は自分のことは誰よりもよく知っているように思いますが、じつはよくわからないことが多く、客観的な分析をしてはじめて「実は自分はこれが得意だったのか」とわかることがあります。
また、「強み」には自分の働いている部署や会社、上司や部下の得意ジャンルなども含まれます。
「強み」がわかればそれを活かした仕事の進め方をすることができますし、その「強み」を伸ばす方法もわかります。
B:目標
明確な「目標」を持つことがなによりも大事です。
ゴールのないマラソンは想像するだけでもゾッとしますが、ゴールが見えていれば疲労困憊していても頑張ろうと思えます。
しかし、間違った「目標」を持ってしまうと悲惨です。42.195キロを完走したのに、実はコースを間違えていたと気づいたときの脱力感を想像してみてください。
「目標」を設定するときは慎重にならなければなりません。遠回りのようですが、目標を明確にすることで近道が見つかることもあるのです。
C:時間
仕事量にふさわしいだけの「時間」を確保しなければ、どんな仕事も成功しません。
時間がなくて、やっつけ仕事になってしまたっら、誰がその仕事に喜んでお金を払うのでしょうか?
実際に、仕事ができるといわれている人は、時間管理がうまい人が多いようです。自分の時間の使い方を分析し、優先順位の高い仕事に時間を振りわけましょう。
ここにあげた自己実現論はビジネスマンにとって、常識的なことばかりですが、これを守るクセがついているかどうかが、できるビジネスマンとそうでないビジネスマンの分かれ目だとドラッカーは自己実現論のなかで述べています。
最近、学生のあいだでブラック企業という言葉が流行っています。
社員にサービス残業を強制したり、劣悪な労働条件を改善しなかったり、会社の利益になるなら、社員を使い捨てにして恥じない会社のことをブラック企業と呼ぶようです。
もちろん使い捨て前提で社員を採用するのですから、社員のモチベーションは限りなく低くなり、業績もそれにつれて低下していき、やがては倒産に追い込まれることになります。
これは極端な例ですが、社内でコミュニケーションがとれていない会社は、仕事のできない会社です。
コミュニケーションの不足は、社員のモチベーションや、組織の効率の低下に直結し、社内でコミュニケーションのとれている競合他社に一方的に負けることになります。
つまり、経営者・従業員問わず、ビジネスマンにとって自己実現のための最も基礎的で重要な能力がコミュニケーション能力なのです。
では、コミュニケーションにとって、もっとも大事なこととはどんなことなのでしょうか?
ドラッカーによると、それは相手にわかる言葉で話す、ということになります。
人間は、自分の興味のある話題にしか理解を示しません。
話術の達人は、相手がどんな話題に興味を持っているのかを事前に調べ、その話題にからめて自分のいいたいことを相手に伝えます。
そういう配慮をせず、自分のいいたいことだけを一方的に述べ、理解しないのは相手が悪いと開き直っても、コミュニケーションは成功しません。
また、相手のモチベーションが低ければ低いほど、理解しようとする意欲は減ります。コミュニケーションを成功させるには、相手を理解し、モチベーションを高めるようにしなければならないのです。
社員を使い捨てにするブラック企業が論外というのはこのことからもわかります。
さて、ドラッカーはその著書の中でいろいろとためになる話を残していますが、彼の経営学は「コミュニケーション能力」がなければ成立しないものばかりです。
つまり、ドラッカーの経営学を身につけるには、その前段として、コミュニケーション能力を身につける必要があるのです。
駆け足でしたが、普通のサラリーマンの役にたつドラッカーの自己実現論の基礎の基礎を紹介しました。
経営学というと、普通のサラリーマンには敷居のたかい学問のように見えますが、じつは普通のサラリーマンが読んでも面白く、そしてためになる本です。
この連載で、経営学の父ドラッカーの言葉にすこしでも興味を抱いてもらえればと思っています。
おつきあいいただきありがとうございました。
マネジメント - 基本と原則(ダイヤモンド社刊)